15の自分を思い出して、いろいろ書いてみた

前のエントリで、アンジェラ・アキの『手紙』という歌について書いたけど、ちょっと思うところがあったので、別エントリとして書いてみる。

これは偶然だけど、15の自分といえば「将来はソフトウェア開発の仕事がしたい」と心に決めたころだ。それまでもコンピュータはおもしろいと思っていたんだけど、中3の夏にあるコンピュータ雑誌の記事を読んだのが決め手だった。当時アスキーの社長だった西和彦さんが1980年代から90年代にかけて企画・設計したMSX規格のコンピュータについて「誰でも使えるコンピュータがほしい。どのメーカーのものでも同じように使えるものがいい。」という情熱でMSXを作ったとコメントを寄せていて、とても感動した。僕はそのころ中学校の理科室にあったMSX (たしかソニーの MSX2 HB-F1XD) を使ってプログラミングをしていて「最近のパソコンは画面がきれいで処理が速いけど難しくて何もつくれない。MSXは古いコンピュータだけどシンプルでわかりやすいし使っていて楽しい」と感じていたから、その設計思想を知って納得したんだと思う。
西さんの夢は、現実にはその年の秋(日本は年末に発売)にマイクロソフトWindows95 を作ってある程度は達成された。そのころ一般家庭にも普及し始めたパソコンの設計思想は、ウィンドウ/ボタン/メニューなど UI (user interface) の動作を OS で統一することによっていろいろなソフトウェアを同じように操作でき、また各メーカーのハードウェア構成が違うパソコンでも同じ OS が載っていればどれも同じソフトウェアが使える、ということだった。このころから2000年代初頭にかけて、マイクロソフトが Windows という OS でパソコンの世界を制した。
一方で、僕がMSXを好きだった理由である「シンプルでわかりやすい」ものは、未だに達成できていないと思う。それは自分を表現する道具としてのコンピュータが、仕組みが複雑になることで普通の人には手の届かないものになってしまったからだ。もちろん、OS の仕組みや描画のAPIを理解すれば、できないことはないけど、15歳の僕がいまのソフトウェア開発に求められる知識や技術を知ったら途方に暮れるだろう。
アップルはハードウェアや OS を自社開発することで Mac や iPodiPhone を作ったけれど、僕はそういった閉鎖的なやりかたはあまり好きじゃない。なんか一人勝ちって感じだから。MacBook持ってるし、この製品は気に入っているんだけどね。

僕の理想は、いろんな家電メーカーがプラットフォームを共有しつつ各社の独自性にこだわれる、そしていろんなメーカーの機械で同じソフトウェアが使えるというものだ。やっぱり「シンプルでわかりやすい」ものをつくりたい。